ジャニーズを
甘く見てはいけない。(^_^;


『ぼくらの勇気〜未満都市』日本テレビ

 『大地震千葉北部直撃!』、『幕原地区生存者絶望的』。新聞の見出しに踊る、突然の悲劇。半年前にその地に越して行った親友を探しに自転車で旅立つ名古屋の高校生ヤマト。そして道中で知り合った同じく自転車行の大阪の高校生タケル。しかし現地に着いた二人の目に飛び込んだ光景は、すべての大人が死に絶え、未成年のみが殺伐と生存する廃都だった‥‥。
 昨年の10月から12月にかけて日本テレビ系列で全10回放映された『ぼくらの勇気〜未満都市』。事故報道の裏に隠された驚愕の事実。生命を賭した闘いを決意した少年たちが最後に選んだ「勇気」。この枠の前作『D×D』のコメディタッチとはうって変わるハードなSFジュブナイルドラマとして、素晴らしい作品だった。私は、数話見逃していたこともあり、気になる点の確認のため、いわゆるノベライズ本というのを講読してみた。
 はっきりいって、小説としての読みごたえはまるでなかった。ただし、物語自体は、やはり悪くない。これは、感動した映像を追体験するための書籍と割り切れば、それなりの価値があると思われる。いや、そもそも元の映像作品が「ジュブナイル」として素晴らしいものだったのだからジュブナイル小説として読めば、もう少し評価はあがるのかも知れない。そう思ってみるとなるほど、この文体は『中一時代』や『中一コース』の連載小説の「ノリ」なのかも知れない。
 ところで、このドラマの魅力の一翼を担っていたのは、やはり役者たちの魅力だ(加納典明を除く)。中でも主演のKinki-Kids、とくに準主役の堂本剛の味のある演技は、絶妙だった。
 いまや、どのチャンネルを捻ってもジャニーズ勢で占められていて、辟易する観もないわけではないが、事務所の力だけでなく、タレント自身に魅力があることも確かだ。巨大化した事務所は、内部での競争も激しくなり、そこから突出しメジャーになるタレントの実力は、それに比して高くなっている。「たのきん時代」のジャニーズ観で彼らを論じようなどとしたら、一遍に足下を掬われる。
 やはり、現代の日本を語る上でジャニーズを避けて通るわけにはいくまい。そこで、次号から「ジャニーズ進化論」の連載を始めようと思う次第である。

(ピーター・レン)

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