いい加減なDTP概論(2)
『DTPによる印刷物制作アウトライン』
(2)各工程の作業
さて、それでは4つの工程をざっくりと押さえておきましょう。
◆ 制作(材料作成と組み立て、デザイン)
この部分はデザイナーさんを含めて、発注者の役割が大きいパート。企画から始まって、テキスト(手書き・データ)、写真やイラストなどの材料と、その組み立て。デザイン・レイアウトなどのクリエイティブですね。
この段階ではアナログもデジタルもほぼ一緒です。
◆ データ作成(DTPソフトでの作業)
おなじみの「Photoshop」「Illusrator」「QuarkXPress」「PageMaker」などのDTP関連ソフトの登場です。各ソフトの説明は質問があればお応えしますが、ここでは省略。部品データの作りこみは済んだとして。
レイアウトソフトでの割り付け作業。
白紙のうえに、題字を置き、写真を配置し、文章を入れていく工程です。アナログならば、デザイナーさんがレイアウト用紙の上で定規とペンを使ってやっていたことを、ソフトでやるわけですね。ここまでは従来作業の「道具」が変わっただけですが、問題は、このままフィルム出力できることはほとんどない、ということです。
印刷用製版フィルムのメイクアップには、解像度やトンボの付け方、トラッピング、オーバープリント処理なんて様々な作業が山のようにあります。「カラー印刷物」を問題なく印刷できる出力用データを独力で作れるデザイナーさんが極めて限られるのは、その為です。
ここでの作業は、本来なら製版の技術者が担っていた部分なのです。ところがDTPの登場以来、デザイナーさんは、写植の代わりに文字を打ち、印刷会社に文句を言われながら製版処理をし、それでもトラブルの連続。最近では文字打ちは発注者サイドでやるか、文字打ち専門の業者に任せますし、製版処理については、製版会社(印刷会社)が担う部分が多くなってきました。
さて、写真などの「絵柄」です。
通常デザイナーさんは、ローエンドのスキャナーなどで取り込むんだ解像度の低い「軽い」データを自分で作るか製版会社(印刷会社)がドラムスキャナーで分解して作ったデータのうち、プレビューデータなどと呼ばれる「軽い」データを使って作業します。ちなみに当社の場合(笑)、製版用高精度ドラムスキャナーで分解した実データにリンクの張られたプレビューデータを制作サイドに渡し、レイアウト作業をしてもらうことが多いですね。
このやり方のよさは、いざフィルム出力の前に、製版オペレーターが、プレビュー画像と実画像の「貼替え」をする必要がないんです。プレビューのままでメイクアップ作業を済ませ、出力をかけると、プレビューと実画像がサーバ側で自動的に差し替えられて出てきます。これによって「貼替え時の貼間違い」が起こらないというメリットもあるし、出力データに実画像を貼ったものから出力するより、遥かに短時間で出力できる、という事情もあったりします。
「Illustrator」などでロゴや地図、図版などを作ったりするのもこの時点ですね。
レイアウトソフトで、これらの材料をページに纏め上げカラープリンターなどで確認して、次工程へ渡します。
(ada-ky)
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