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映像のおはなし
−フィルム篇−


 テレビ(実写)作品がフィルムで撮影されていた時代‥‥
 その多くは「16mmフィルム」が使用されていました。1998/10現在では、円谷プロ作品(『ウルトラマンガイア』)、東映作品(『ギンガマン』『ロボタック』など)で見ることが出来ます。というよりも、現在はこれらの作品でしか「フィルム映像」を見ることは出来ないかもしれません。
 驚くなかれ、TVドラマの殆ど(1時間物の1クールドラマを筆頭に、サスペンス劇場、時代劇にいたるまで)が「ビデオ撮影」されているのです。現在では「特撮もの」のみが「フィルム撮影」されていると言っても過言ではないと思います。(特撮ものの分野でも、一部の作品は「ビデオ撮影」されているのですから‥‥)

 一方、劇場(映画)作品は「35mmフィルム」「70mmフィルム(最近ではこちらは希です)」が使用されます。35mmフィルムは、皆さんがお使いになるスチルカメラのフィルムと同じサイズですね。したがって、16mmフィルムはその半分の幅のサイズです。ただ、スチルカメラと異なるのは、35mmの部分が「天地」ではなく「左右」となる点です(これには一部異なる点があるのですが、ここではこのようにご理解下さい)。
 当然、サイズが大きいフィルムの方が解像度が高い訳です。その他発色も断然異なります。

 ご参考までに‥‥
 『巨神ゴーグ』というアニメーション作品(日本サンライズ:現サンライズ制作)があります。この作品の「1話〜6話、OP、ED」が「35mmフィルム」で、「7話以後」が「16mmフィルム」で撮影されています。見比べてみると発色の違いやノイズの有無などを発見出来る筈です。この作品では、諸般の事情から撮影フィルムが変更されたという事実があるわけです。また、作品によっては「OP、EDのみが35mmフィルム」というものもありました。

 さて、「ウルトラ」シリーズの場合、以前の作品ではポストプロ(合成作業など)が発生する部分(主に特殊撮影、一部本編)が、35mmフィルム、それ以外の部分(主に本編部分)が、16mmフィルムを使用して撮影されていました。前者はポストプロ作業時の画質劣化対策だったようです。
 『ウルトラマンティガ』や『ウルトラマンダイナ』、さらには現在放映中の『ウルトラマンガイア』は、撮影そのものは特技、本編ともに16mmフィルムが採用されているようです。これらの作品がフィルムで撮影されているのは、キー局である毎日放送(MBS)の要望であったとも言われています。

 ビデオ撮影では解像度が高すぎる為、「見えなくても良いものまで見えてしまう」傾向にあるようです。それは何なのか??? それは、現在TBS系で放映されている「大岡越前」をご覧になるとおわかりでしょう。
 余談ながら、TBS系列で放映されているドラマのうち「フィルム撮影」されている新作は『ウルトラマンガイア』だけなのです。あの「東映時代劇」まで現在は「ビデオ撮影」されているのです。

 次回は、「D1」をはじめとする「デジタルビデオ」について‥‥
 では、また。

(亀山 晃)
(C) Copyright 1998 H.Kameyama All rights reserved.
改稿:1998/10/26 初校:1998/04/13


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