海外旅行くろう話



 私、9月にアメリカに遊びにいってまいりました。今回は、大学時代の友人と2人でイエローストーンとロッキーマウンテンを中心にドライブの旅だったんですが、ロッキーの近くにダイナソア国定公園っちゅーものもあったんですね。そこには発掘された恐竜の化石が、発掘された状態のまま保存されていたりして、恐竜好きの私としては、狂喜乱舞で楽しんできたわけでございます。
 話しは変わりますが、海外旅行といえば、飛行機。飛行機といえば、ボディチェックと手荷物検査がありますよね(強引か)。今までの海外旅行で、ボディチェックってつねに何かしらひっかかっている私なんですが、それはいつもつまんないもんなんです。ボディチェックって金属に反応するじゃないですか。小銭をポケットにいれたままというのもやったし、ベルトのバックルだの登山靴の金具部分だのに、いつもひっかかっているんです。

「これはあなたの荷物?」
 手荷物検査をしている年配のおねえさんに、そう聞かれたのは、いつもの念入りなボディチェックを受けている時でした。どうも手荷物にも何か問題があるようなのです。ボディチェックの方はいつも通り、バックルと靴の確認がとれて、開放された私は、手荷物検査の方に向かいました。私はいつもバックパックひとつで旅行していて、荷物は全部その中にいれてあるんです。
「何か、爪のようなものはいれてありませんか?」
 へ? つめ? 金属っぽいもんで、そんなもんないけどなあ、と考えてみると、ひとつあるんです、洗濯ものを干すために持ってきてあった、針金のハンガーが。
「これじゃないですか?」
と、そのハンガーを出してみたのですが、返事はノー。バッグに手を出そうとすると、手だしをしてはいかんといわれ、荷物満載のバッグをあさること数分。その間、考えていたけど、どうにも心当たりがない。
 そうこうするうちに、おみやげを取りだし、「これよ!」という声。それは、件のダイナソア国定公園で買った、アロサウルスの爪の化石のレプリカだったのです。私、コレを2つも買ってたんですよね。
 「ああ、それならここにももう一つありますよ」とつい手を出してしまう私。検査をしていたおねえさまには、「なかなかおもしろいものをお持ちですね!」といわれて笑ってすみ、無罪方面となりました。
 これがホントのくろう(claw)話しというわけで、おあとがよろしいようで‥‥。

(今日坂 荘司)


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