珈琲にこだわれ

〜豆の種類:ブラジル〜

 前回はモカについてふれましたので、今回はブラジルについてふれてみましょう。ブラジルの場合は、モカと異なり、生産国の名前が珈琲の銘柄として使われています。
 珈琲というのは元をただせば農産物ですから、この「ブラジル」も当然ブラジル国内で栽培されているわけです。しかし、よくよく考えてみると、お米だってこんな小さな日本の中でつくっているのに、産地によってずいぶん味が違いますよねぇ。てことから考えても、当然ブラジルの珈琲豆だって場所によってずいぶん味が違うんじゃないか?と考えたアナタは正しいのです。でも、実際に日本で目にするのはすべて「ブラジル」ということでまとめてしまうことが多いですよね。

 ネタばらしを先にしてしまえば、もちろんブラジル政府もそんなことは百も承知していて、しかも珈琲豆は政府の大きな収入源でもあるので、そこはしっかりある基準を設けてランク付けをしているわけです。具体的には、見かけで判断できるものとして、粒の大きさと混入物の多さによるランク付けがあります。粒の大きさはスクリーンナンバーといって、19〜13(値が大きいほどよい)まで、混入物の多さでは基準に応じてナンバー2〜8(こちらは値が小さいほどよい)に分けられます。これ以外にクラシフィカドールと呼ばれるいわば「珈琲鑑定士」という人によって味覚の鑑定も行われ、それによってストリクトリー・ソフト、ソフト、ソフティッシュ、ハード、リオイ、リオの6段階に格付けされます。

 あと、これは味とは関係ありませんが、ブラジルも珈琲豆を出荷する港も銘柄に付される場合があります。「サントス」というのは港の名前です。また農場の名前をつけることも最近行われるようになってきており、「トルマリン」などというのは農場の名前からつけられたものです。
 日本でも、ちょっと「通」を気取ろうとしている店などでは「ブラジル・サントス No2スクリーン#18」なんて書いてあったりするのは、こうしたランク付けの中でもいい豆を使ってますよ、ということをアピールしたいということなのです。

 ブラジルは、酸味と苦みのバランスがとれており、他の豆と比べると中庸の味といえます。焙煎の深さ次第でもこうしたバランスを自分の好みにすることもでき、ブレンドによく使われています。

(アラビカ・ヒコ:1996.11)



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