私の内なるロボット



 「ロボット」といわれて、まず頭に思い浮かぶものは何だろうか?“鉄腕アトム”なんて答えてしまう人は、実際にはそんなにいないと思うのだが、マスコミでは、そういうイメージでとらえられがちだ。自分と同年代の人だと、“マジンガーZ”とか“ガンダム”といった、いわゆる“巨大ロボット”というやつが浮かぶこともあるだろう。

 「共生する/進化するロボット」展(1999年1月29日〜3月22日 NTTインターコミュニケーションセンター [新宿])に、何を期待していったかといえば、恥ずかしながら、ちょっとはそんなものも期待していた自分がいたわけだ。もちろん、実際にはそこまでいかなくとも、蓮見氏お気に入りの、ホンダの二足歩行ロボットくらいのものを期待していたのは事実。
 実際の展示はもう少し地味で、いわゆる「ロボット工学」の一部分を垣間見る、というようなものであった。その技術それ自体はスゴイことなんだろうけど、傍目には、「ロボット」と「機械」の区別って何だろう、とあらためて考えさせられてしまうようなものばかりなのであった。
 それはさておき、その中に、すでに販売されている2つのオモチャが展示されていたことは特筆しておくべきだろう。ひとつはマイクロソフトの「ActiMates」、もうひとつはレゴの「Mindstorms」だ。いずれも日本ではまだ販売されていないが、おそらく時間の問題だろう。

 ActiMatesは、CD-ROMやテレビと連動して、そこで展開されるさまざまな状況に応じて言葉を話すというもの。一見ただのぬいぐるみ(アメリカの子供向け教育番組の主人公で、Barneyという、マヌケな顔をした紫色の恐竜)なのだが、まるで本当にテレビの内容がわかっているかのように見えるのがおもしろい。最近、トミーが国内販売を開始したグレムリン風のペットロボット「ファービー」があるが、あんな感じのものを想像してもらえればいいのではないだろうか。
 Mindstorm(s)は、レゴに、昔一斉を風靡した電子ブロックの要素を加えたものといえばわかりやすいだろうか?普通のブロック、それにタイヤやモーターなどの駆動部、そしてCPUからなるパーツを使って、自分の好きなように形をつくることができ、しかもその動きを、Windows用にデザインされたソフトウェアを使ってプログラミングすることができるというものだ(個人的には、とても物欲をそそられるシロモノである)。

 自分の思ったように動かすことができるロボットや、また、あたかも会話するかのようなロボット(「たまごっち」なんかも近い感覚があったと思うのだが)が、気がつけば普通のオモチャとして、子供のうちから本当に接することができる世の中になってしまったということなのだ。
 この4月に、筆者の職場(大学図書館)で、新入生向けのセミナーをやった際、参加者の多くが「パソコンを触ったことがない」といいながら、マウスを器用に使いこなすのを見て、今更ながら時代というものを感じてしまったが、こんなオモチャで育った子供たちは、いったいどんなことになってしまうのだろうか?楽しみでもあり、コワくもある。

(炉簿 棍蔵)


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