樋淑み〜はの
サイエンスってばスペシャル


東京大学創立120周年記念
東京大学展

学問の過去・現在・未来



近年、お色直しされ、すっかりきれいになった
安田講堂。ここがメイン会場だ。
 久しぶりにくぐった赤門、かつて通ったキャンパスの雰囲気、やっぱり好きだなぁ。って、実験用のメダカの飼育のバイトしてただけなんだけど。なんてことは、誰も聞いちゃいないって。
 今回の展示は、TVのニュースで知りました。東京大学に残されてきた数々の歴史的な品を一般公開する。順路も決まっていなければ、ご親切な解説もない。「予断なく、自分の目で観て自分の感性で受け止めなさい」ということらしい。これが気に入りました。これこそ、学問の神髄ですよね。
雑然と並べられたホルマリン漬けに魅了される人々
 東大の敷地内に4つの会場を設け、第一部「学問のアルケオロジー」、第二部「精神のエクスペディシオン」、第三部「建築のアバンギャルド」、第四部「知の開放」の四部構成で、学問の過去・現在・未来をカヴァーしているということ。
 メインは、安田講堂を開放した第一部。蝋細工の医学模型やら実験器具やら、ところ狭しと、判る人にしか判らないお宝が並べられている。しかし、素人にも「とにかく凄いものらしい」と言うことは伝わってくるようで、親子連れも目立つギャラリーは、熱心に展示物に見入っていました。もちろん、私も、そんな素人の一人。なんだか判らないけれど、とってもエキサイティングなんです。
昭和初期のコルセット。自分の身体と比べちゃダメ。
 入ってすぐの所で目を惹くのが、蝋細工製の各種人体模型。なかでも一番ショックだったのは、角のある人の頭部。ホントに角って生えるんだなぁ。同じコーナーに展示されていたほっそ〜いコルセットを多くの人が立ち止まってみていたのは、目の保養のため?(ならへんならへん)
実物の新生児の骨。かわいい。
 子供たちに一番ウケていたのは、内燃機関の模型かな。中学校の技術室にあった、ハンドル回すとピストンが動くヤツ。何種類も展示してあって、がちゃがちゃがちゃがちゃと、安田講堂中に響きわたってました。壊さないか、もう心配。
 子供といえば、胎児から新生児までの骨の標本が5段階くらいに並んでいて、この子たちは当然他人同士なんだけど、成長していく姿に見えますね。今にもよちよちと歩き出しそうで、「子供って、骨も可愛いんだね」とは、同行したお姉さまの弁。現代じゃ、人権問題で、標本にするの大変なんだろうね。
説明らしい説明の一切ない展示方法が、清々しい
 その他、標本の類の量は圧倒的で、雑然と、まるで市場の商品のように並べ立てられていて、秋葉原の電気パーツに感じるのと同種の目眩が場内を包んでいました。
 とまぁ、とにかくありとあらゆるものが、渾然一体となっていて、知のカオス状態といった様相でした。
 その他、第二部は、東大の海外学術調査の成果を展示。第三部は、安田講堂の模型など、建築に関するもの。第四部は、「現在・未来」の担当で、マルチメディア技術を駆使した展示とともに、パーフェクTVで放映される「東大チャンネル」の中継スタジオとして、さまざまな討論会が行なわれていました。それと、図書館では、「お雇い外国人展」というのも同時開催されていました。

(樋淑瑞葉)


第四部「知の開放フォーラム」の討論内容はこちらへ。
「お雇い外国人展」の展示内容はこちらへ。

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