どこが「始末」やねん!
『塗仏の宴 ―宴の始末―』京極夏彦
講談社ノベルス(ISBN4-06-182033-8)


 去る3月末に発売された前編『〜宴の支度』から半年に届きそうな9月上旬。発行予定日が徐々に後ろに下がっていった続編『〜宴の始末』がいよいよ発売されそうだ、という情報がネット上に走った。Xデーは、9月18日。当初の予定日の7月5日からすでに2ヶ月あまり。その間、幾度となく、ついに発売、ついに発売、と繰り返されていたため、ほとんどのファンが半信半疑だったでしょう。
 しかし、今度ばかりは本当かも知れない。なんと、9月18日に八重洲ブックセンターでサイン会を開催!との発表もあったから。サインをもらえる資格は「当日同店にて『塗仏の宴 宴の始末』を購入して整理券を入手」ということなので、まさかこれはずらせないでしょう。
 ところが、である。これに続く講談社の情報によると、発売日は9月21日とのこと。サイン会にブツがなかったりしたら、どうなるのだろうという野次馬根性が、私を八重洲へと駆り立てたのです。

 サイン会当日。八重洲ブックセンターを訪れた私の目に飛び込んだのは、うず高く積み上げられた、紛れもない新作『塗仏の宴〜宴の始末』の山と、みっしりとしたファンのカタマリでした。考えてみれば、公式発売日の前に配送されていることには、なんの不思議もないです。でも、ここまで待たされて、待たされることが当たり前になってしまった故の迷いと、この場では繕っておこう、カナ。
 余談だけど、その3日前にも紀伊国屋書店川崎店でサイン会があったようだけど、ずいぶん間の抜けた企画のような気が‥‥。まぁ、『姑獲鳥の夏 文庫版』の発売日だからいいのか‥‥。

 聞き込み調査によると、200枚の整理券は開店から30分ほどで消えたらしい。それも、当初予定の100枚を倍にしての大盤振舞いで。まったく、平日の朝っぱらから、みんな熱心です。当然私の分はないけど、ここに来たのはあくまでも取材の為なので、悔しくなんかないです。ないったらないんです!
 その熱心なファンの特長もレポートしてみようと思ったんだけど、これがほんっとに、絵にかいたような「普通の人々」。普通の人々の200人の群れというのは、普通なんだか普通じゃないんだか、よくわからないボリューム感を発してました。
 時計の針が12時で重なり、いよいよ京極夏彦その人の登場。一見して無愛想。思ったよりオヤジ体型なことに、なぜかホッとしたりする妙なファン心理‥‥もとい、記者魂。
 私は、栄えある一番乗りを勝ち取ったファンの人にインタビューを申しもうと近寄る。しかし、すっかり怪しまれてしまったようで、なかなか口を聞いてくれない。後に続いてきた2名のお仲間が合流すると、そそくさと会場を後にしはじめてしまいました。余韻を楽しむとかいう趣味は、彼女たちにはないようです。確かにそのサイン会場自体、なぜか「その場にずっといたい!」という雰囲気ではなかったんですけど。
 一応報告しておくと、この3人組は二十歳前後の女性で「割と早く来ました」とは言っても泊まり掛けではなかったようです。無理矢理なやり取りの中でかぎとった限りでは、8時半頃に着いたような印象でした。

 さて、ついに手にした『塗仏の宴 宴の始末』。当初の予定では、これが発売される前に既刊作をおさらいしておくつもりだったんですが、すっかり機を逸してしまいました。せめて続編の前作だけでも、と思ったんだけど、新作を手にしたら最後、ページを開かずにはいられない。その上、一度開いてしまったら、引き返すことはおろか、止めることも容易ではない。結局、手にしてから約43時間後に、630ページを読み切ってしまいました。誤解のないように言っておきますけど、その間、ちゃんと仕事もしてたんだからね。
 前ふりはいいとして、ここからが作品に関する本論。‥‥といったところで、皆さんもお疲れでしょう。この続きは、また後日。いや、まだ読んでない人も多いでしょうから‥‥。

 と、これじゃあんまりですね。とりあえず、一言だけ。‥‥「このコラムのタイトル通り」。
 あ、でも、当然のコトながら買って損はないです。た・だ・し、いままでにも増して、これまでのシリーズ全作品が伏線になっていますから、必ず『姑獲鳥の夏』から順番に読むように!

(樋淑瑞葉)


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