都市社会楽のココロ

あふりか

 迷い込んだジャングル 月だけが照らす
 揺れる葉陰 何? 気配だけ感じる
 見たことないアングル それとも知ってる?
 恐れていた? なぜ、こんなとこにいるのだろう.....

 手繰り寄せるサンプル 参照不能
 揺らぐ記憶 何? 消去したファイル
 砕け散ったアンプル 意識が遠のく
 聴こえてくる どこ? ビートを刻んでる.....

 私は知ってる 忘れてただけだと思うよ きっと
 包み込むような この闇の中で
 未開の大陸? それは誰のレポートなの 教えて
 生まれる前に 住んでたんじゃない?
 暗闇の向こう 篝火が見える


 目覚めた瞳にサンライズ 太陽が輝く
 横切るのは 何? 名も知らぬ群生
 見渡す限りファインビュー フレームが割れる
 壊れていく壁 吹き抜けていく風に.....

 見果てぬサバンナ わたる風の夢よ ねえ教えて
 悠久のナイルの泳ぎ方を
 精神の砂漠化 アスファルトのひび割れに今 しみる
 痛みが生きてるという証拠?
 まどろみの瞳に 映る写真集

 意識のバカンス 思いがけないとこにあるね きっと
 私の中に 野性は残ってる
 精神のバランス 取り戻すこともできるよ きっと
 生まれる前に 決まったんじゃない
 ビル街の向こう 朝日が輝く

(C)hasmi toshihito 1998


 1998年4月の終わりに、友人の井上竜夫から作詞依頼のメールが届いた。彼が所属しているバンド「はなわか」のためのものだ。はなわかとの出合いは1989年2月18日に遡る。友人のライヴを観に行った際に対バンとして出演していて、一度で大ファンになった。ずっと憧れのバンドだった。紆余曲折を経て、1996年に旧友の井上が加入した時は、不思議な感慨を味わったものだ。
 そんな10年来の憧れのバンドから作詞の依頼がきて、断われるわけがない。久しく人の曲に詞をつけるという作業をしていなかったが、ヴォーカルのリリコが歌っているイメージを思い浮かべ、添付されてきたMIDデータに合わせて詞作に取り掛かった。「AFRIKA」と仮タイトルのついたその曲は、6拍子で詞をつけるには難易度の高いメロディだった。
 アフリカといえば以前「太陽が輝く暗黒大陸」というテーマで構想を練ったこともあるほどで、一度チャレンジしてみたい題材だった。まずは素直にアフリカのイメージで詞を書き始める。しかし、自分にとってのリアリティのなさが気になり始めた。今、僕が書く意義を考えると、自分にとってリアリティのないものではいけない。依頼者の求めているだろうイメージと自分にとってのリアリティの擦り合わせが必要になり、結果、素直なんだかヒネクレてるんだか分らない、このような作品になった。ポップさと現代の都市生活者にとってのリアリティの両立という自分への課題をそれなりに満たせた出来となったと思う。
 「気に入らなければ書き直すので」ととりあえず送ったが、おかげさまでバンドのメンバーにもそこそこ気に入ってもらえたようで、基本線はほぼ残した状態で、実際に歌うリリコが多少の手を加えて完成形「OriginalColour」となった。ここには手を加える前のものを紹介したので、どこがどう変わっているか、ライヴへ行って確かめていただくのも一興だと思う。この度発表されるはなわかのCDにも収録されるので、ご購入いただけるとさらに嬉しい。....僕にはお金、入んないけど。(笑)
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