都市社会楽のココロ

できるかな

 おともだちと なかよくしなさい。
 きちんとあいさつ おはなししなさい。
 落ち着きなさい。最後までやりとげなさい。
 言われ続けた 幼少期

 集中力に協調性、根気が足りない。
 意欲が見えない。
 君は やればできるはずなのに
 と言われ続けた 少年期

 大人になったつもりでも
 てんでどこも変わってないね
 理屈でごまかして ただ生活をやり過ごすだけ

 君は何か 他人と違うものをもっている気がする。
 いわれても、結局は何もできずに裏切り続けた 青年期

 それは、あの別れと同じ
 理想論も罪悪感も、つまるところ無責任
 ただ言い訳をつくろっただけ

 期待外れをなじられても
 そんなこと約束した覚えはないと
 言い返すわけにもいかず
 うやむやにして ただ年齢をとるばかり

 相手変われど、主変わらず。か
 いつまでも同じ繰り返し
 それでもしばらく生きていくなら
 まだすべて投げ出すわけにいかない

 遠いあの日の君の言葉は、忘れていない
 それだけがすべて
 果たせなかった約束を いつかかなえる
 その時まで

(C)hasmi toshihito 1994


 『臨床都市社会楽〜T氏の症例』収録作品。ライヴでの演奏は1996年3月24日の「HASH-MIX, FREEZE」のみ(1999.02現在)。
 ドラムとドラでおどかしといて、バタバタ落ち着きのないリズムと甲高い揚琴のフレーズが畳み掛ける。とにかく喧しくて嫌でも目が覚めるというチャイナな曲。井上君にギターの依頼をしたら「これのどこに入れるんだ!」と言い返されたほど、打ち込みだけでオケはほとんど完成されている。ポルタメントかけまくりのフレットレスベースも、実は打ち込み。音色ごとにはワンパターンをくり返しているだけなのだけれど、順列組み合わせでバリエーションを出しており、リバーブ感と相まって、かなり「生」っぽくなっていると思う。アレンジ的には、今でもかなり満足している。
 大陸系歌謡的なメロディで、唄には珍しくビブラートとコブシを入れているが、これは僕の高校時代のアイドル、所ジョージさんを目指したもの(彼の未CD化アルバム『パイル・ドライバー』は名盤っスよ!)。後半はテンション上がりっ放しで息継ぎがつらいので、ライヴでは命取り(笑)。
 「期待外れをなじられ〜」の一節は、古くから温めていたのだけれど、数年が経過した結果「言い返すわけにもいかず」という言葉が続くようになってしまった。(T_T) 大人になるって、こおゆうことよね。(笑) この詩は、わりと共感してくれる人も多くて、ひと安心。(火暴!)

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