都市社会楽のココロ

ホリデイ(年休120日時代のブルーズ)

 朝、目が覚めるたら、9時20分前
 あわてて飛び起き、ワイシャツを羽織る
 流しに走って、濡れた顔を上げる
  ‥‥今日は、ホリデイ。

 ベッドに戻って、煙草に火を着ける
 TVをつけて、すぐ消して、投げるリモコン
 揺れる煙に融けるカレンダー
  ‥‥今日は、ホリデイ。

 シーツから顔を出すと、9時50分過ぎ
 慌てて跳ね起き、また、我に返る
 窓の陽射しと子供たちのはしゃぐ声
  ‥‥今日は、ホリデイ。

  かーてんヲ開ケレバ
  雀タチガ逃ゲル
  眩シ過ギル空ニ
  視神経、ヤラレル

 身体が腐りそう、午後3時過ぎ
 シーツを引き摺り、遅いブランチ
  スクランブルエッグ
 朝刊を取って、珈琲をすする
  ‥‥今日は、ホリディ。

 見るでもなくTVを流して、もう8時前
 シーツにくるまったまま思うのは、君
 会わなくなって、もう1年余り
  ‥‥今日はホリディ。

(C)hasmi toshihito 1992


 1994年秋発表のセカンドソロアルバム『臨床都市社会楽〜T氏の症例』の冒頭を飾る作品。初演は1994年8月27日の「都市社会楽の夕べ」。以降、ライヴの定番オープニングソングに。
 さわやかな鳥のさえずりと子供達のはしゃぐ声、それを踏みにじるような陰鬱な銅鑼の音で「たかしゆう氏(仮名)」のカルテは始まる。頼り無気なメインボーカルは後景に退き、せわしないリズムにのしかかるホーンと重いギターサウンドに乗って、生気のない独白が続く‥‥。我ながら嫌な曲だなぁ。(^_^;
 年休120日というと、一年の1/3は休みということなのだが、実感できている人は、どれだけいるのだろうか? 一方で、休日の有り難さも減っているのでは? ということなどを考えているうちに、できたのだと思う。朗読は、子供の頃、兄が聴いていた湯川れい子の『全米トップ40』からのトラウマ。(笑)
 アルバムの冒頭を飾るとともに、レコーディングもこの曲が皮切りとなった。そして、このカラオケを持って、ライヴのためのメンバーを集めて回った。ドラムのタマオさんにおそるおそる打診すると、「え?私がこれ叩くの?‥‥ふ〜ん、説得してみ(にや!)」と返されたのをよく覚えている。なんとか参加してくれることになり、一夜限りのために結成されたバンド「都市社会学研究会」が、現在、シルバーエレファントに出演している幾多のバンドの基礎となったことは、当人たちも覚えているまい。(T_T)
 

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