都市社会楽のココロ

プライド

 抑え切れない気持ち どこへ捨てよう
 苛立ちだけが この部屋を満たす

 時計の針の音が 耳にはりつき
 すべてを壊す 欲望を誘う

 プライド‥‥
 この僕を ここにとどめる

 人の波に紛れて 生きる毎日
 お前だけが 心の支え

 冷たい風に晒され 凍える夜は
 精神の弱さ 改めて知るよ

 不安になった気持ち
 癒そうとする その時
 お前は行く手を塞ぐ

 プライド‥‥
 理性の鎧は 冷たく重い

 プライド‥‥
 この僕を 独りにしないで

(C)hasmi toshihito 1989


 『臨床都市社会楽〜T氏の症例』収録作品。初演は1994年8月27日の「都市社会楽の夕べ」。作詞作曲をはじめて、かなり初期の頃にプロットはあったと記憶している。
 1拍2拍のピアノが重暗く響く三拍子の作品で、とにかく「暗い」曲をつくろうと‥‥。(^_^; 「暗い‥‥くらい‥‥クライ‥‥プライ‥‥、プライド」‥‥って、そんなんばっかしやん! どれほど暗いかというと、録音中、何度もリプレイして聴いていたら、作者自らすっかり沈み込んでしまったというほどで、ほとんど『怪奇大作戦』のような。(笑) 
 前述したピアノが終始低音を担っているのは「ベースギターが低音を担当しなくたっていいじゃないか」というベースプレイヤー時代のテーマを実現したもの。このピアノから始まり、ボーカルがかぶり、「時計の針が〜」で時計のゼンマイを巻く音、最初の「プライド〜」でスチールギターと、1コーラス目はこれだけ。2コーラス目からドラムが加わり、間奏のピアノソロを経てベースが加わるという伝統的な盛り上げ方。で、クライマックスはボーカルが理性を失い、それをフォローするピアノソロも次第に崩壊していくという‥‥。やだなぁ‥‥。
 歌詞的には、初期のThe Good-byeの曽我泰久作品の影響を、アレンジ的には、JAPANの「Night Porter」の影響をかなり受けてますね。
 こんな調子の曲なので「シリアス」で寝てしまうと、ここも聞き逃してしまう。(笑) そして、次の曲で‥‥。

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