都市社会楽のココロ

誠 実

 知らなかったさ、君がそんな気持ちでいたなんて。
 いつもふざけて、からかいあっていただけじゃない。
 ちょっとツラいよね。
  そんな目射をして僕を見ないで。
 まつげをふせないで。
 うるみがしずくになってしまう。
 そしたら‥‥ 僕の立場がなくなるよ。

 できるなら、このままでいたいよ。
  明日のことは聞きたくない。
 誠実なんて縁遠い言葉。応える自信ないよ。
 生活なんて面倒なだけさ、僕を責めないで。

 聞かなかったら、何事もなく済んでいたかな。
 気まずくなるね。
 これからどうしたらいいのかな。
 もっと純粋に許しあえたら、わかりあえるさ。
 嘘をつかないで生きていけたらいいのにね。
 そしたら‥‥ 僕の気持ちが伝わるよ。

 できるなら、この僕のすべてを話したいけど。
  見せられない。
 誠実なんて縁遠い言葉。応える自信ないよ。
 誓約なんて守れないからさ、僕を責めないで。

 誠実なんて縁遠い言葉。応える自信ないよ。
 性格なんてわからないものさ、僕を責めないで。
 誠実なんて縁遠い言葉。応える自信ないよ。
 生活なんて面倒なだけさ、僕を責めないで。
 僕を責めないで‥‥

(C)hasmi toshihito 1989


 1993年秋発表のファーストソロアルバム『都市社会楽序説』収録作品。初演は1992年5月30日の『スノッブマガジン』創刊ライブ。
 「男性が聴いても女性が聴いても嫌な印象を与えるフニャモラ〜な人物像」を目指して書いたはずが、なぜか不思議なことに、もっとも評判好かったりします(笑)。私をよく知る友人に「君にこのような詩曲が書けるとは思わなかった」といわせた反則技のはずだったんですが‥‥、他人の評価を得てから、にわかにフェイバリットソングになってしまいました。(^_^;
 元ネタは、聴けばすぐに分る「イングリッシュマン・イン・ニューヨーク」(^_^; 。あの曲に「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー」調のストリングスが絡んで、途中に「ジャスト・ア・トゥ・オブ・アス」が割り込んできたら気持ちよさそうだなぁ、というのが出発点でした。
 アルバム収録時にアレンジを再考。リズムを跳ねさせて空間を広げ、もっと空虚感を出そうということにしました。ところが誰がこのアイデアを聞き付けたのか、こともあろうか本家「イングリッシュ〜」の跳ねものヴァージョンがラジオから流れてくるではありませんか! ショージキ言って「真似すんなよ」って思いましたよ(<おいおい!)。
 裏打ちのカッティング以外のギターフレーズは、すべて井上君任せ。当初、彼は「この曲では(ロバート・)フィリップ・スケールを使う!」と息巻いていましたが、なぜかアンディ・サマーズに鞍替えしてしまいました。本人の口から聴いた噂によると、どうやら録音日までに習得できなかったらしい(笑)。とはいえ、このアルバムバージョンで、私、気に入ってます。念のため。カラオケで聴いた時は、なんか落ち着かなかったけど、メロディラインとの絡みが、ちゃんと計算されていたんですね。

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