都市社会楽のココロ

摩天楼のティンカーベル

 夜空に揺れる 摩天楼の灯
 ボクノココロ トケテイク
 白い息吐く 君の笑顔に
 ボクノココロ トケテイク

 何ひとつ許せなくて
 塞いでいた僕を照らして

 いつもはうるさい 街のノイズ
 冷たく突き刺す イルミネイション
 なぜだか愉しく映っている
 素直な気分さ 君といると

 行き止まってた 迷路のカギと
 ボクノココロ トケテイク

 失しかけてた大切なもの
 君の瞳が映してくれた
 取り囲んだ見えない壁が
 崩れていく 不思議な君に

 こんな気持ちになれるなんて
 君は僕のティンカーベル

(C)hasmi toshihito 1988


 『臨床都市社会楽〜T氏の症例』のラストを飾る作品。ライヴでの演奏はなし(1999.03現在)。
 長いドラムロールからはじまる元気なマーチング・テクノで、旧友・佐久間充の作曲。味気ないヘビーな日常に埋もれながらも、徐々に自分を取り戻し、最後に解放されるというのが、アルバム全体の構成。全体的に重いアルバムの最後を明るく終わらせるために、古いストックから発掘してきた。
 全編でフィーチャされている女声コーラスは、1992年の「Snob Magazine 創刊ライヴ」のメンバーである高橋 紺、みち、佐藤鏡子、千夜野の4人に「おるでなり」の朗読をしてくれたタマオを加えた通称「SNOB GIRLS」。舌っ足らずがむしょうに可愛いエンディングのラップ(?)は、みち。吉祥寺MANDALA-IIを中心としたソロ活動で人気を博し、CDも発表している彼女だが、その後、活動を停止してしまい、この音源が現時点では最後の作品となっている。本人にとってもこれは不本意だと思うので、活動再開してください>みち。(笑)
 と、とっても幸せな気分のハッピーエンディングを強調するように、この曲の最後には、爽やかな朝の気配、小鳥たちのさえずりがかぶさってくる。そして「あの子」の名を呼ぶどこかで聞いたことのある子供の声‥‥。そう。それは、このアルバムの冒頭の‥‥。


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