
What you say…?
ホワットゥセィ‥‥
君がいま言った言葉 聞き取れなかったよ
風の音にかき消されて
窓辺で遠くを見ている 君の長い髪
確かに僕には 翠に見えたけど
(いいかけたことば なんだったんだろう)
忘れてしまうすべてが 悲しみだけならいいのに
取り戻せない昨日
ホワットゥセィ‥‥
振り向いた君が そこにいたはずだよ
唇のかたちをかえながら
届くはずの声は もうひと息で
影をゆらす波に紛れて 白くなる
(時が止まったの? それとも‥‥)
忘れてしまうすべては もう帰らない一瞬
音もないままに
忘れてしまうすべては 時流の波間に零れて
どこへ流れ着くのだろう
忘れてしまうすべてを ホワットゥセィ‥‥
(C)hasmi toshihito 1986
蓮見10代の作品で、現時点で発表されているもっとも古いもの。1992年5月30日の『スノッブマガジン』創刊ライブ2曲目に演奏。以後、一度も演奏していない。
高校卒業と同時期(85年春)にバンドに加入して作詞・作曲もはじめたが、当初は女性ボーカル用のものばかりつくっていた。その年の10月にバンド用ではない初作品を書き、この曲は翌新春に書いた2作目になるようだ。
「What you say」というフレーズは、水谷豊の「あす陽炎」(阿木燿子作詞)の影響なのはたしかだが、詞の内容も曲も、影響は見られない。基本的にパロディばかりやっていたはずなのに、こういう「元ネタ」がまったく思いだせないものというのはかなり珍しい。
曲のコンセプトは、無機的なビートにボサ・ノヴァ風味というものだった。兄からもらったリズムマシンとラジカセでピンポン録音してデモテープをつくったのは、おそらくこれを書いた半年後くらい。とはいえ、リズムは2小節打ちっぱなしで、手弾きのベースとボーカルがのっているだけのようなシロモノだったはずなので、ボサ.ノヴァ風味とはいっても、自分がそう思っているだけだった。
頭の中にあったアレンジは、THE BEATNIKSの『EXITENTALIST A GO GO』に影響されたものだと思っていたが、今確認したら、このアルバムが発売されたのは、87年だと判明。いまとなっては、どこから着想して作ったのか、まったく思いだせない。
わりと思い入れのある作品なので、機会があれば、きちんとアレンジして残したいと思う。
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