ちっちゃな身体に
大きなソウル
- T.M.Revolution -

 言っちゃなんだが、私はミーハーだ。好きになるものは世間と少しずれているかもしれないが、好きになるときゃあきゃあうるさい方である。TMレボリューションもご多聞に漏れず、見た目の麗しさとダウンタウンとの軽妙なトークから好きになった。だがしかし。その曲を真剣に聞いて気分が変わった。コイツ、本物だ。本物の歌うたいだ、と。
 インタビュー記事なんかで彼がどれだけ真剣に歌を歌っているかなんてのは情報としてすぐ手に入る。しかしそれは、どの歌手についても書いてある提灯記事だ。アイドル的な外側にこだわって、うちのダンナなんかはちょっと距離を置いて見ていたりする。でも。で・も!一度真剣に歌を聞いてみて欲しい。真剣に、彼の歌声を。できるなら、歌詞がテロップで流れる番組を見る事が望ましい。彼の大きな口は伊達についている訳じゃないのだ。
 彼は、曲によって変幻自在の歌いかたをする。楽しい曲なら楽しそうに、悲しい曲なら悲しそうに。ここまでなら普通だ。プロの歌手なら当然の事だ。しかし、歌声からその歌の空気が鮮やかによみがえるような歌いかたをする歌手を、私は最近とんと見ない。〜凍えそうな 季節の中で と歌えば耳がちぎれそうなほど冷たい空気が私の身体を突き抜ける。〜カラダが 夏になる と歌えばギラギラと照り付ける夏の太陽と、潮の香りまで運んで来る。〜信じてるから愛を聞かせて と歌えば、涙雨が私の心を濡らす。彼はその曲の魂を声に乗せる事ができる、現存する数少ない歌い手なのだ。
 こんな歌手を一時のアイドルなんかで終わらせてなるものか。カラオケのレパートリーにちょっと加えて〜なんて軽々しく扱っちゃならん。若くして死んでもらっちゃ困るが、伝説として語り継がれていっていいと真剣に思っている。今まで聴いていなかった人も、軽く聞き流していた人も、一度真剣に聞いてみる事を強くお勧めする。そして早く彼の歌声の魅力に気付いて欲しい。

(ヤマモトキョーコ)


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