拒絶すべき
愚鈍なる善意の産物

『ミュージック・フォー・エアポーツ』
バン・オン・ア・キャン(PHCF3503)

 ブライアン・イーノの『ミュージック・フォー・エアポーツ』(1978)は、その後多くの追随者を生むことになったアンビエント・ミュージックの出発点といえるアルバムである。その音楽性を高く評価する(と称する)現代音楽アンサンブルによる新録音盤が登場した。
 オリジナルの4曲中少なくとも2曲は、長さの異なるテープ・ループが偶然生み出した音の重なりの一部でしかない。それを一音一符まで完璧に採譜して再現するなどという信じがたいことをやってのけている。楽器編成を変えて室内楽として様々な場所で上演可能にしたというのがウリらしい。
 だが、使っている音色が琴の音だったり妙に東洋風であり、特定の国籍・場所に帰属しないトランジットな「空港」の空間に配慮したモノトニアスなサウンドスケープは、西洋人がイメージする(にすぎない)東洋なるものに彩色されてしまっている。根本的なところで重大な勘違いをしているのではないかな。

(宮野 義昭)


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