ポスト・モダンを
出発点から考え直す

チャールズ・ジェンクス
『ポスト・モダニズムの建築言語』
竹山実訳、エー・アンド・ユー

 幸いなことに私たちは日本におけるポスト・モダン生誕の日を特定することができる。雑誌『a+u』の別冊として『ポスト・モダニズムの建築言語』が刊行された、1978年10月1日である。80年代に狂い咲きしたポスト・モダン論ではその名をきくことのなかった本書こそが、「ポスト・モダン」「ポスト・モダニズム」をめぐる全世界的な論争の口火を切ったのであった。
 機能主義と普遍主義の理念のもとに、気候風土や生活慣習の違いを無視してコンクリートと鉄とガラスの箱を押しつける建築のモダニズム。その専制に抗して、住民参加と地方分権・歴史的景観の保存・生態系への配慮を説く本書は、草の根民主主義的な政治的闘争の書である。
 「形而上学批判という名の形而上学」に始まり、いまやオタクの知的遊戯と化してしまった日本のポスト・モダン論が、世界的に見ていかに「偏向」していたのか、出発点から考え直す必要があると思う。

(R/W)


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