BORN AGAIN BEHIND
THE WALL OF SLEEP

〜オリジナルBLACK SABBATHの威容〜
Vol.1



 亜蝶琶蝶のペン・ネームで、ここのところたてつづけにコラムを書いてきた私だが、「秋桜に君と…」のコラムからペン・ネームは外した。とりあえず正体不明より「ああ、アイツがまたバカなこと書いてやがんな〜。しょうがねえから、かったり〜けど見てやっか。」という知人が増えてくれるだろうと思ったからだ。同じ名義で「新行動派猿」というバンドの新聞「モダン・ビーム」にも四コママンガも書いていたが、「あれって、藤井さんだったんですか?(つまんね〜)」という方もおられたので、今後は実名でいくことに決めたのである。
 ところで、あの名義でここのところイングヴェイ・マルムスティーン、METALLICAといったハード・ロック/ヘヴィ・メタルの範疇にあるアーティストを紹介してきたが、今回はその総本山ともいうべきアーティストについて迫れる絶好の機会と思い筆をとった次第である。


 70年代ブリティッシュ・ハード・ロック2大バンドといえば、たいていの人がLED ZEPPELINとDEEP PURPLEの名を出すことだろうと思う。しかし、3大バンドは?と選択肢を広げた時、出てくるもう1つのバンドの名前は人によってかなり違うことだろう。また、ヘヴィ・メタルというベクトルで語られる時、もしくは元祖のヘヴィ・メタルとは?という問いに対してはかなり意見が別れることと思う。BLUE OYSTER CULTというバンド名を出す者もあるだろうし、STEPPEN WOLFだと言う人もいるだろう(この辺りの推移に関しては『BURRN!』98年12月号の「特別研究・BLUE OYSTER CULT」を参照していただきたい)。
 しかし、現在までのヘヴィ・メタルのリフ形態の基本形を作り出したのが“彼等”だろうという(いや、THREE MAN ARMY=ガーヴィッツ兄弟だという輩もいるかもしれぬが)視点をふまえ、また(80年代には評価の対象にさえならなかったが)その影響力の多大さ故に、私は先の問いの全てに“彼等”の名を挙げることにしている。“彼等”‥‥そう、BLACK SABBATHである。
 このバンド名は、その時期によって全く異なった布陣、音楽性を擁しているが、今回語ろうと思うのは、70年代にそのサイケデリック・ドラッグ・カルチャーが生み出したダウナー・ヘヴィ・ロック・バンドとしてのオリジナル編成の‥‥つまり、G.トニー“アンソニー・フランク”アイオミ、Vo.オジー“ジョン・マイケル”オズボーン、B.ギーザー“テレンス・マイケル”バトラー、Ds.ビル“ウィリアム・トーマス”ワードというライン・ナップによるBLACK SABBATHである。
 彼等について語る絶好の機会と書いたのは、昨年10月末にこのライン・ナップに戻っての97年12月4日、5日に地元イギリス、バーミンガムで行なわれた再結成ライヴの模様を収めたライヴ盤、その名も『REUNION』がリリースされたからである。
 今年は、このオリジナル・ライン・ナップによるツアーも行なわれているが、この世紀末(って死語?)に彼等が再結成するという事実は重い。
 次回は、“彼等”の歴史についてふれてみたいと思うが、「黒い安息日」に人が耳にした音とは何だったのか?へヴィ・メタルの暗黒のエネルギーの底知れぬ魅力を、貴方に伝えたいと思う‥‥。

つづく:藤井 宏治)


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