接近遭遇
IN LONDON JUN 1997

 接近遭遇といっても、UFOや宇宙人に会ったわけではありません。苦節20年、とうとう僕はファン道の極致にたどり着いてしまったのです。それは僕の音楽の師匠、いや神様であるM氏(宇宙人にかなり近いが)ご本人に会うことができたことです。いや、会うだけなら十年前くらいにサインをいただいたことがあるけれど、今回はなんと一緒にお食事をしてしまったのです。要するにM氏側から一人の人間として認知されたわけで、これはもう人生の転機というのでしょうか(ちょっとオーバーか)、気が狂わんばかりの出来事なのです。
 で、どこで会ったのかというと、M氏はロンドンに住んでいるわけで、僕たちは(僕の奥さんも一、二を争うほどのファンなのです)バカンスという名目で、一週間の旅にでかけたのでした。目的はただ一つなのですが、せっかくイギリスに来たのだから観光しなくてはと思いながらも全く計画を立てなかったので、かなりバタバタしてしまいました。それでもできる限りいろいろな所を見てまわってしまうところが、さすが日本人というところでしょうか。
 今回の旅はちょっと郊外に足をのばして自然を感じてみようかなと思い、レンタカーで南西部を三日かけて突っ走ってきました。フロントガラスの外は、それはもうこの世の世界とは思えない素晴しい大自然が広がり、走っても走っても広がっていて、一日中見ているとさすがに飽きてしまって、いやあ贅沢なものでした。信号が無くて、速度制限もなくて、狭い道をみんな150キロくらいで爆走していて、1000ccの僕の車は、あおられっぱなしでしたが、とても気持ち良かったです(時々、うさぎ、狸の類が道の上でぺしゃんこになっていましたが)。
 あこがれのストーンヘンジも見られたので大変満足できました。そんなわけで独占インタビューをしてきましたので、近況などをお知らせします。でも勝手に書いてもいいのでしょうか、まあいいでしょう。

 場所はピカデリーの近くのチャイナタウンにある中華店で、ヤム茶をしながら、お話しをしました。本当は、芸能レポーターのように突っ込んだ話をしたかったのですが、やはりご本人を目の前にするとかなりの緊張のせいで、つい社会情勢だとかの訳のわからない話をしてしまったりと、地に足がつかない状態で、おまけに味もよく分かりませんでした。
 それでもなんとか聞き出したことによると(実は、M氏はかなりのおしゃべりなので楽でした。おまけに意外に声が大きくて店内に響わたっていました)、現在8年振りのソロアルバムを作っているところで、来週からスタジオに入って7月ころには発表できる予定だったのですが、デモテープをレコード会社の人に聴かせたら、9月にしてほしいといわれたそうで、やはりマニアック過ぎたのでしょうか。ご本人曰く「深い海の底の音」なのだそうです。

 去年JAPANのトリビュートアルバムで8年振りにソロ作品を出しましたが、なんと今年の7月には、SUGIZOプロデュースによるイベントが日本で行なわれ、それに参加します。このイベントに参加する他のミュージシャンには、あっと驚くミック・カーン、リチャード・バルビエリ、スティーブ・ジャンセンがいて、これはもうJAPANではないか。肝心のM氏は、DJ KRUSHと二人でやるそうで、常に先端の音楽を目指しているところはさすがです。東京では7月16日にリキッドルーム、7月31日と8月3日に赤坂ブリッツで行なわれますので、その筋の方はおみのがしなく。詳しくはフールズメイトを見てください。

 おまけとして、レンタカーをロンドンの道端に駐車していたら駐禁をとられてしまいました。

(高野 敏:「ばるんが通信」No.21,1997.07.07)


[IN LONDON JUN 1997][×2 IN TOKYO][接近遭遇の神髄

目次に戻る
土屋昌巳WEBへ